山人ノマドの活動報告

東京都山岳連盟加盟の山岳会、山人ノマドのブログです。会員の山行記録、会の行事などを紹介していきます。

6月17日 レスキュー訓練

6月17日(日)  於 鷹取山公園

メンバー:H野、W田、T島、T内、H山、H口、T内、W田幸、I田大、I田千     記:I田大

 

訓練内容:

①ムンターヒッチによる懸垂下降、ミュールノットでの仮固定
②懸垂下降からの登り返し
③リードビレイ時からの自己脱出
④セカンドビレイ時からの自己脱出+カウンターラッペル

 

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8:30追浜駅集合、鷹取山公園いつもの場所で訓練開始。

 

懸垂用のロープを張り、先ずは①ムンターヒッチ(旧称半マスト・イタリアンヒッチ)での懸垂下降およびミュールノットでの仮固定。

 

ミュールノットについてはシンプルで覚えてしまえば間違えようがないので、是非習得しておいてもらいたい。

また、慣れないうちはミュールノット上部にオーバーハンドノット等でバックアップを取ったほうが良いと考える。

万一ミュールノットのバックアップのカラビナをかけ忘れた状態で末端側のロープを引いてしまうと、いとも簡単に解けてしまうからだ。(゚д゚ノ)ノ ヒィィ!

 

ビレイループにカラビナをかけ、ロープをターンさせて作業をすると良い。

 

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※参考写真(今回はデバイス部分にムンターヒッチで懸垂下降しました。)

 

 

 

続いて②懸垂下降からの登り返し。

今回は自動ブレーキ付きのデバイスでの懸垂下降&登り返しをメインとした。

ビレイデバイスのブレーキ機能を利用したシステムで、従来の方法より格段に操作性があがるのだが、ちょっと熟練が必要。(が、慣れればメッチャ楽!)

 

フリクションノット&ソウスリングで作った簡易アブミの乗り込みに苦労する人もあった。スリングを自分のサイズに合った長さに調節しないと辛いようだ。

 

※個人的には簡易アブミに使用するスリングは20㎜・120㎝ナイロンが最適だと思う。縫い目部分をプレートに見立ててセットすると足入れが楽になる。幅の狭いダイニーマー等のスリングだと足裏をガースヒッチで固定でもしておかないと、一度アブミから外れた足を戻すのに苦労することになる。が、アブミに足を掛けた状態でフリクションノットを引き上げるのはあまり合理的な動作とは思えない。特に体の硬い人にとっては・・・。値段も安いものだし、簡易ハーネスに使っても「幅広なので」体に食い込まない。1本くらいは持っていたほうが良いと思う。

 

※懸垂下降中に登り返しの懸念が少しでもある場合、トップはフリクションノット等で是非バックアップを取ってもらいたい。時間と手間を云々する向きもあるが、慣れればバックアップを取るのに30秒もかからない。操作性についても要は「慣れ」の問題である。

 

 

 ③リードビレイ時からの自己脱出。

ビレイデバイスの仮固定は都岳連の講習で教わったツーハフヒッチ(ふた結び)を試した。ミュールノットでの仮固定より安心感が高いように思った。

ビレイデバイスを仮固定したらテンション側のロープにクレムヘイストノットをセットし、ビレイデバイスのテンションをクレムヘイストノット側に移してデバイスを解除する。フィギュアエイトでアンカーにバックアップを取る。(必ず!!)

 

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リードする84

 

 

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上部からの落石で昏倒する(態の)84、ここからビレイヤーは自己脱出!

 

 

④セカンドビレイ時からの自己脱出+カウンターラッペル

提唱者のT内さんに実地で説明をお願いする。以前御前山で試した時には???であったが、懸垂支点部分をムンターヒッチにするとカウンターラッペルが容易になった。

 

※手順等についてはノマドブログ「セカンドレスキュー時のカウンターラッペル」参照(近いうちに改訂版アップします。)

 

 なお、今回は自動ブレーキの解除にカラビナを用いたが、ノーズの形状がフラットなもの(オートロック機能付きカラビナ等)でないと操作できなかった。

※自動ブレーキの解除時にはロープが流れてしまわないようにバックアップを取って作業をするようルベルソの説明書にありました。(改訂版に写真あげます。)

 

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講師のT内師

 

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カウンターラッペル成功! そしてレスキュー訓練終了~-(^-^)-

 

今回は参加人数が10名と少々さみしい気がしたが、その分(例年よりは)中身の濃い訓練が実施できたように思う。

次回についてはベーシック班とアドバンス班に分け、昼休憩と訓練終了前にそれぞれ時間を設けてお互いの訓練の成果を報告し合うことで効率化を図るのはどうだろうか?

ベーシック班は基本の訓練の後、負傷者の応急措置や救助要請の研究を行い、アドバンス班は④セカンドビレイ時からの自己脱出+カウンターラッペルから更に搬送までできればと考えている。あと今回最後に少しだけやったレイジングシステムを本格的に検討していきたいと思う。あとでレジュメに纏めて次の集会で発表会をするのもいいかも。

 

次回のレスキュー訓練については84、バンブーにリーダーをお願いした。自分も含めたロートル連をバシバシと鍛えていただきたいものである。

 

 

 

 

皇海山(スカイサン)

 

皇海山( 2.144m )

2018年6月8日(金)快晴 (L)N川・F森

 

読めそうで読めない、

書けそうで書けない、

そして、私には、行けそうで、なかなか行けなかった山のひとつ。

最大の理由が、

最短ルートの皇海橋登山口への林道アプローチの問題。

登山口への林道、「栗原川林道」とは百名山一の悪路として名高い。

 

10年以上前に、ノマド前々会長のI山さんとW田さん、F森さんが

この不動沢コースを行った記録がある。

その時は、

I山さん所有の、軽自動車オフロード四輪駆動車として名高い

スズキのジムニーだったそうだ。

かつて車の転落事故もあり、

道の至るところに「自己責任で」と念をおす看板が多数ある。

 

そんな悪路を運転する勇気はさらさらないので、

登山口への送迎付きペンションに前泊した。

(1泊2食付 5500円/1人 ・片品村

実際林道を走る時間は片道ほぼ60分。

1時間も車を走らせるのであるから、

車はどんどん山懐深く入り、

深い谷はまさに仙境の装いとなっていく。

窓からの景色はかなりの絶景ではあるが、

車窓から見える足元の林道に目をやれば、

くねくねとした、切り岩の悪路、未舗装道路が続き、

タイヤは切り立った絶壁ぎりぎりを走行、

自然と緊張感が増す。

 

この名高い悪路を通らない方法としては、

庚申山荘に1泊し、庚申山、鋸山を経由し、皇海山へ、

六林班峠に下山するコースは山荘から往復9時間、

栃木県側(東側)からの銀山平からだと往復13時間。

 

日帰りできないコースを選択しても、

長い林道を車でアプローチするコースを選択しても、

この山の奥深さがよくわかる。

山頂からの眺めが期待できないぶん、

山の静けさがなお一層ひきたつ。

 

登山口出発、午前6時半。

今ではどこの登山口にもある、熊注意の看板がここにも。

平日の金曜、駐車場にはまだ車が3台のみ。

 

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不動沢沿いに、笹原をぬけ、何度か沢を渡り、

不動沢のコルまで2時間。(実際は1時間半)

視界が開けない笹原では、熊よけの笛を時折、いや頻繁に吹く。

腰ベルトには熊スプレーを下げて、、、。

コル直下のマップにある急坂は、予想外の急登で、

備え付けのロープを使わないと滑る。

コルに出ればこの日一番の開けた場所で涼風が通り抜けていた。

 

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笹原が続く

 

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コルまでは、沢沿いを行くので涼しく気持ちがいい

 

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沢を何度も横切る

 

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不動沢コルで休憩

 

我々は迎えの時間を約束してきたので

コルから皇海山と反対方向に往復1時間かかる鋸山へはいかなかった。

鋸山山頂にたてば、皇海山の山容がよくわかるらしい。

 

コルから皇海山山頂までは1時間。

山頂は、栃木県と群馬県の県境であり、

また渡良瀬川水源碑がたっている。

山頂のまわりの立木で、視界はよくないが、

木々の間から日光白根がすぐそこに見えた。

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山頂にある渡良瀬川水源の碑

 

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 同じ山頂にもう一つの碑、こちらは栃木県側になるのか、

近くには栃木県百名山の看板もあった。

  

 

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一輪だけ咲いていたシャクナゲ

 

さすがに平日でも百名山

下山までに30名を超す登山者に出会う。

そして、復路の林道で、まさかの熊さんにも出会ってしまった。

もちろん車の中にいたので安心ではあったが、

熊を見つけた瞬間の、車中の緊張感は忘れることができない。

もし、往路で熊を見てしまったら、

間違いなく、登山中止で引き返していたと思う。

 

つい最近までは、

人がいない静かな平日の山はいいね~、なんて言っていたが、

今では、

土日の人が入っている山域しか怖くて行けなくなってしまった。

 

気象庁が関東の梅雨入り宣言をした翌日の晴れ間、

長く気になっていた山頂へ立つことができ、

F森さん、お付き合いいただき有難うございました。

5月例会(シダクラ沢)

メンバ:大(L)、M明、タケゾーさん

ルート:シダクラ沢遡行→奥多摩湖

 

当初5人のメンバーで遡行の予定のハズがリーダーが欠席、加えて今回の幹事であるメンバーも風邪のため不参加。急遽リーダーを仰せつかった私は前日のジムのオヤジ連との飲み会で完全に二日酔い状態。タケゾーさんは過去にもう数えきれないくらい遡行したところである。

 

高揚感のカケラもなく入渓点で身支度を始める。リーダーの権限でトップはM明にまかせ、ラストはタケゾーさんにお願いし、二日酔いの私を挟んでもらう。

 

出だしの滝はいきなり水をかぶるのはイヤなので当然まく。入門用の沢なので特に緊張を強いられる箇所もなく、それにタケゾーさんがいる限り道迷いの心配はまずない。

天気も良く、沢の中は暑くもなく寒くもない。絶好のわらじ始め日和の中、淡々を遡行を続ける。

 

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思えばタケゾーさんとはかつて「タケサワ会」(自称)なるものを結成し、丹沢・奥多摩の沢を駆け回った仲だ。自分にとっては沢の師匠である。M明とはそう山行を共にすることはなかったが現在では我が伴侶である。

 

互いに大した気遣いをせずとも、多くの言葉を交わさなくとも意志の疎通のかなう気心の知れた仲間との山行は楽しいものだ。

 

 

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ノマドで得難い山仲間に巡り合えた幸せを噛み締めながらの遡行であった。