5月30日・6月1日
記:DAI KK師・BB師・YK嬢
昨シーズンの有終の美(会心の滑り?)を飾った乗鞍大雪渓へ、今年もシーズンのグランドフィナーレを迎えるべく出撃した。
メンバーは前回に続き我が敬愛するKK・BB両師。加えてスキーを新調してますます気鋭の上がるYK嬢の4人。当然、吾輩のテンションもマックス状態である。
この日のために燧ケ岳で痛めたふくらはぎの治療のため、せっせと整骨院通いもした。
ジムだって1週間以上もレストしたのだッ!
無論、天候の心配なんぞあろうはずもない。
5月31日
10:30過ぎにバス停のある乗鞍高原観光センターに到着。まるで初夏のような陽気のなか、乗鞍岳の勇姿を眺めながら食事を摂り、ゆっくりと準備を進める。
バスの時間にはまだ余裕がある。まったりとタバコを吹かしながらバスを待つ気分は「百戦錬磨」の山スキーヤーといったところ、2度目ともなればもう余裕綽々である。
観光センターから望む乗鞍岳
11:50発の春山バスに乗り込み終点の肩の小屋口に向かう。
前回の乗鞍は「絶対的経験不足」ゆえの不安と、直前の至仏山の悪雪に散々な目にあわされ意気消沈の中、「ドナドナ」の子牛の心境でバスに揺られていたのだか、今回の吾輩はちょっと違う。
なにせ気分だけはもう「百戦錬磨」なのだ、ちょいと「タフな山スキーヤー」気取りである。「謙虚」とは「弱気」の同義語である(byレイモンド・チャンドラー うそッ!)
三本滝の停留所を過ぎるとバスは急に曲がりくねった道に、からだが右に左に大きく揺られ始める。同時に吾輩の心も右に左に・・・・。小さな不安の芽がタフなハートに芽生えはじめる。
今シーズンはKK・BB両師の厳しい指導に耐えてきたのだ。(2回だけ・・・師匠の居ぬ間はぬくぬくとサボってたじゃないか!)
なんだか少し自信が揺らいできた・・・・。
いやいや守門、浅草岳そして燧ケ岳でも(内容はともかく)なんのかんの言っても無事に帰還してきているぢゃないか!経験値だって「絶対的経験不足」から「圧倒的経験不足」くらいにはアップしている筈だ。(やっぱ駄目なんじゃないか・・・・?)
標高2,350m、バスが今夜の宿泊予定である位ヶ原山荘に差し掛かったころにはなんだか後頭部が少しモヤモヤしてくる。(高度障害の症状がでるほどの高さではないんだが・・・・なぁ・・・)
バスは雪の壁の中をどんどんと高度を上げていき、13時前に無情にもついに終点である肩の小屋口に到着。
バスに揺られている間に「百戦錬磨」のスキーヤーが「小鳩のような胸を震わす乙女」に成り果ててしまった。
まったく「気のちっちゃいオッちゃん」である・・・・我ながらあきれかえる・・・・。
しかし、バスから降りた途端に不安もなにもぶっ飛んでしう光景が。
目の前に広がるのは純白の雪をたっぷりとまとった北アルプス3,000m級の乗鞍岳、空はあくまで紺碧。
胸キュンである。
技術不足も経験不足も忘れていそいそと準備に取り掛かる。(滑降モードのままで歩き出そうとしたことはくれぐれも内聞に願いたい)
肩の小屋口からの絶景 北アルプス、紺碧の空、天空の楽園!
とはいえ、昨シーズンはルート取りがまずくてシール登行でえらく苦労したことまで忘れたわけではない。
狡猾な吾輩はリーダー権限により、トップをBB師にまかせて「楽して」やろうとしたがサックリと拒否される。
仕方なくトップを行くことに。(燧ケ岳でBB師の鬼のシゴキを経験しているので、滑りよりははるかに自信がある。)
今日は位ヶ原山荘までスキーで降りる計画、帰りのバスを気にする必要がないためゆっくりと歩を進める。
コロナ観測所を見上げながらエッチラオッチラ(汗)
眼下に肩の小屋
正面に穂高連峰、奥に槍の穂先が顔を出している(どや、紺碧の空やろ!?)
YK嬢と謎の人(宇宙人?)
汗をかきかき登ること1時間半で山頂に到着。景色は360度の大パノラマ。穂高連峰の勇姿、その奥に見える槍の穂先に見惚れることしばし。
一息入れてBB師を先頭に滑降開始!
山頂付近でのKK師と謎の人
吾輩と・・・・・謎の人(宇宙刑事?)
BB師が歓声をあげてドロップイン!!!
後ろに続くが雪が重くてやっぱり思うように滑らせてくれない。(下手だからなッ!)
続くYK嬢も綺麗なフォームで抜けて行く。いつも最後尾で見守ってくれているKK師に至っては・・・・吾輩にとって、もはや「神の領域」である。
メンバーの軽やかなスキーを横目に、自身でもあきれるくらいドタバタとした滑りで遅れ遅れで付いていく。
それでも楽しい、楽しいものは楽しい!下手でもここは楽しめるのだッ!
がしかし、その間たったの10分足らず・・・んんん~、あまりにもはかない。
なに、また明日もあるさ!
と気を取り直し、除雪されたバス停前の道路をまたいで、なだらかな樹林帯の中をスキーで山荘を目指す。もう頭の中はビールのことしかない。
山荘に到着、片付けを済ませて食堂のストーブを囲んでようやくの乾杯。
これぞまさしく甘露、至福の時PARTⅡ、あまり飲まないYK嬢もジョッキを飲み干し、BB師にいたっては2杯目に突入。
美味しい夕食を挟んで宴会は続く。吾輩はいつものように喋って、飲んで、笑って、泣いて・・・・最後は勝手にひとり布団に潜り込み熟睡。(翌日の朝、顔の浮腫みで目が開けられないくらいだったことも是非ご内聞に。)
謎の人が今夜の宿を覗き見(なんかBB師に似ているような・・・)
6月1日
8時過ぎ、やってきたバスに乗り込み肩の小屋口に。天気は良好、午前中であるせいか景色は昨日よりすばらしい。またもやトップで登行するが、ルート取りもうまく行き80分程度で登り切る。(YK嬢にも褒められた、ご満悦)
今度もBB師を先頭に傾斜のきつい尾根ルートをとって滑降、恐る恐る後に続く。
「怖いけど、楽しい、でもヤッパ怖い」などと悪戦苦闘しているうちにまたもやあっという間に降りきってしまった。至福の時PARTⅢもやはり刹那の快楽だった。
スキーを脱ぎ余韻にひったっている間にやってきた帰りのバスに乗り込む。来シーズンの再訪(と、も少しスキーが上達すること)を心に誓い、名残を惜しみながら乗鞍岳をあとにした。
途中道の駅で名物「山賊焼き」あしらった山賊焼きカレーで腹を満たして、渋滞必至の中央道へ。来シーズンへの課題を「てんこ盛り」にしながらも大満足のスキー山行だった。