東京都山岳連盟加盟の山岳会 山人ノマドです。

会員の山行記録、会の行事などを紹介していきます。

北穂高・滝谷「クラック尾根」&「ドーム!」(8/30~9/2)

                                                                     メンバー:Dai(L)・Hurry・teraちゃん・Musi

                                                                                記:Dai

そもそもの発端はHurryが「岩をやろうぜ!」とDai(イヌ)をけしかけ、二人で決行すべく温めてきた「滝谷ドーム中央稜アタック計画」。

しかし本チャンクライミングへ行くというのにMusiに留守番をさせては・・・後々どんな災厄が我が身に降りかかってくるか知れたものではない。Musiも当然のごとく参加(キジ)の流れに。

その後声掛けに応じてくれたteraちゃん(サル)のたっての希望で行先を「滝谷クラック尾根」に変更。ドームは脇に追いやられ予備日のオプション扱いに格下げ。

 

8月30日

午後11:30東伏見駅に集合。明日以降の天気予報が思わしくなく意気の上がらないメンバー(イヌ・キジ・サル)をHurryこと桃タローが一喝、「山は現場に行ってみないとわかんねぇ~だろ!!!」

 

「おっしゃるとおり!」キビダンゴにつられたわけではないが4人を乗せた車は沢渡を目指しアクセル全開。いざ鬼ならぬ滝谷退治へ~。

 

 

8月31日

未明にたどり着いた沢渡で少々の仮眠。目覚めるとガスは出ているが雨は降っていない。待機していたタクシーに乗り込み上高地バスターミナルへ向かう。上高地では雲が掛かってはいるがところどころに晴れ間も。

 

ブラボー!桃タローいやHurry。

 

 

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8:30徳沢でコーヒータイム

 

 

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いまどき珍しい?ビンテージ物のカモシカレディース

 

 

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Teraちゃんの雄姿、ヤル気出てきた〜?

 

14:00涸沢小屋到着、天気は悪くない。小屋の人に聞いた予報では明日もいつ崩れるかわからないということなのだが…。メシ食ってビール飲んで寝る。

 

9月1日

5:00に涸沢を出発、天気はびっくりするほど良好。前日の疲れを引きずりながら北穂高小屋を目指す。

8:30北穂高小屋到着、小屋のスタッフに本日の天気を調べてもらったら今日明日は晴天とのこと。身体はボロボロだがテンションだけは急上昇、いざッ!

 

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雲ひとつ無い風景

 

 

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穂高小屋へ向かう

 

 

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天候は心配なさそう・・・

 

10:00B沢下降点到着、半端ない悪さに手こずりながら慎重にガレ場を下降(なんせ一歩目ズリッ・二歩目ズズズ・3歩目ズザザ~の繰り返し。挙句にガランガラン→ドドド~→ドッカーンが谷全体に響き渡った時には正直○○が縮み上がりました~)。

 

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B沢へ縦走路を下る

 

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B沢入口

 

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クラック尾根を左手に見てB沢を慎重に下る

 

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Hurry&Musiの下ではTeraちゃん悪戦苦闘中

 

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慎重に下るTeraちゃん

 

崩壊したバンドを迂回するため一旦フィックスロープを伝って登り、懸垂下降を経て取付き点へ向かうのだが、そのフィックスが途中で切れている・・・(たぶん落石による破断)。

途中までプルージックでフィックスを辿ってみたが、フリーで抜けるにはリスクが大きすぎると判断し、結局下降支点までロープを出して登る。

 

取付きまでの懸垂は「右方向へ下降」とトポにある。自分なりには右側へ下ったつもりがまだ足りなかったらしく、バンドの崩壊地へ下ってしまった。プルージックで登り返して今度はうんと右へトラバース。13:00ようやく取付き点到着。思いのほか時間が掛かってしまった。

ちなみに最新のトポでは「尾根末端を(下まで)回り込んでガリーを登るのが確実」とある。最新のトポとは昨日9/3カモシカスポーツで購入した「2016年 新版・日本の岩場」である。はやく言ってよ~(泣)

 

13:30頃登攀開始、Dai&Musiパーティーが先行する。アプローチで時間を食いすぎたため、日没との時間勝負になると判断。

ルート取りによってグレードに違いあったようだが、構わずピッチを切った場所から見えるピトンを目指してルートを取る。

岩は脆く、確保支点はショボく、結構なランナウトを強いられる中、各自が培ってきた技術と創意工夫(いわゆるチョンボですが、なにか?)を駆使してひたすら攀じていく。ルート中の武勇伝(ネタ?)はそれぞれがたっぷり仕込んでいるはず。皆さん是非直接本人たちに問い質してやってください(笑)

 

 

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ルート中唯一の登攀中の写真。カメラを取り出す時間的余裕が無い

 

我がパートナーのMusiもあちこちに小ネタ(A0用クイックドローやら簡易アブミに利用したと思われるスリング)の痕跡を残しながら順調にリードのパートをこなしていく。ジャンケンクラックも難なくリード、苦も無く(フリーで)核心部を登っていく姿はなかなか頼もしい。

 

 

17:00残り2ピッチを残す地点に。ようやく日没までには抜ける目処がついた。18:00最終ピッチのバンドをトラバースして縦走路にでる。そのまま約30mロープを引いてMusiが小屋に到着、モルゲンロートの見物をしていた登山客からの歓待を受ける。

 

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残すところあと2ピッチ、ようやくカメラを取り出す余裕が・・・

 

 

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ギャラリーの登山客の方に撮ってもらったツーショット

 

もう19:00になろうかという時間、暗闇が残照を侵食していく中でHurry&teraちゃんのコールの声が響き渡る。

確保支点がいずれもタイト(狭い…ピンの数が少ない・・・)なこともあって、後続のHurry&teraちゃんパーティーには、何度も待機を強いることになった。お蔭でパーティー間に時間差が生じてしまっていた。

二人のことなので心配はないとは思ったが、やはりホッと安堵の胸をなでおろす。

 

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ヤバイ!もう日没っす!

 

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季節はずれのホタル?

 

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伝説の「ヘッデンクライマーH」

 

19:10Hurry&teraちゃん、小屋前に到着。握手の後、とりあえず二人には缶ビールで喉を潤してもらう。

 

我々の到着を待って北穂高小屋のスタッフがわざわざ声を掛けてきてくれ、「後続パーティーが到着次第、夕食の支度を始めてくれる」と言う。

夕食の時間なんてとっくに過ぎているというのに、温かい食事にありつくことができるというのだ。小屋の皆さんの暖かい配慮に感謝感激。

名物の生姜焼きに舌鼓を打ちながら改めて生ビールで乾杯、Hurryの驕りのワインでさらに祝杯をあげる。

計画では翌日はオプションの「ドーム中央稜」の予定だが自分にはとてもそんな余力は残っていない。ところが小屋が我々のために空けておいてくれた個室の名前が「ドーム」だというではないか。

「それじゃ今回のドームはこの部屋ということで・・・」とばかり全員一致で翌日の下山を決定。部屋の名前に九死に一生を得る。

 

9月2日

7:30昨日の酒と疲れでむくんだ顔に重いザックを背負って下山開始。

横尾からは徳沢でソフトクリーム、明神でカレーライスを食し、観光気分で16:00に上高地到着。

Hurryにいたっては売店ごとにアルコール燃料の補給に余念がない。沢渡大橋手前の「梓湖畔の湯」で汗を流し、東京を目指す。

 

 

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後はひたすら下るだけ

 

総括:

アプローチの悪さ、岩の脆さとプロテクションの貧弱さ、ルートファインディング(が必要)、これぞ滝谷、これぞまさしく「ジ・アルパイン」といった趣きのルートだった。

日ごろ冷暖房完備のプラスティックで日和ってばかりの身に喝を入れられた思いがする。また古くからの山仲間(といっても全員大先輩なのだが・・・)とピッチを重ねるごとに呼吸が合ってくるような一体感を味わうことが出来たことが嬉しかった。

 

追伸:

今回の登攀ではその名前のとおりクラック沿いを登ることが多く、またピトン(ボルトなんぞどこ探しても1本も無い!)がプアなせいもあってカムデバイスが役にたった。

その昔それなりに揃えて少しは齧ったもののイマイチ興味をもてなかったが、今回非常に「使える」ことが判明した。

元来機械類に弱く、ウカツ・ガサツ・オチョコチョイの三拍子揃った「大人物」の自分がセットしたカムなんぞとても信用できるものではないという思いがあったのだが、便利なものを使わない(使えない)のはもったいないことである。

 

ついてはノマドでもその道の先達にどうかひとつ、本格的に講習会を開いていただくことを希望しておく。

もちろん講習前のビールは無し、大きく開けた口にカムデバイスをセットするなどという「おふざけ」は無しでお願いしたい。ねッ84(笑)