2019年8月18日~21日
ルート:折立~太郎平~薬師岳~スゴ乗越~五色ヶ原~室堂
F田(記)
昨年、悪天候のため行けなかった折立からの薬師岳縦走に再度チャレンジした。
北アルプスの大自然の素晴らしさと大変さの両方をこれでもか!と味わったような山行だった。
山行中にカメラと携帯が使用できなくなり、途中から写真撮影ができなくなった上に携帯に記録した山行メモも全て使えなくなってしまった(泣)。
以下、写真が少ないのでご勘弁のほど。
◇初日(折立~太郎平~薬師峠キャンプ場)
都内から夜行バス利用で富山駅着、その後バスを乗り換えて折立の登山口へ。この夜行バスは乗車時間前であれば100円でキャンセルが効くので登山者にとって使い勝手がよい。
日曜朝の折立駐車場には車がズラリ。結構折立からピストンしている登山客が多いようだ。
8時半に登山口を出発。荷物は16.5キロくらいで久々の重荷だが無事に室堂まで到達することを祈って歩き出す。天気は予報通り文句無しの晴れ!
初日は標高差1,000メートルをタラタラ太郎平に向けて登っていくのだが、下りてくる登山者には結構なシニア女性グループが多かった。結構暑くて傾斜が無い登りが(も?)苦手な私には太郎平小屋が見えてからの道が長く感じられたが、無事太郎平小屋着。
しかし、太郎平小屋が見えたあたりで突然カメラの電源が入らなくなり、これ以降カメラは使えずもっぱら携帯のカメラ頼みとなってしまう。せっかく北アルプスに来たのに、うーん。。。
太郎平小屋に富山県警の山岳警備隊が常駐していて、サングラスをしたイケメン警官に山行計画を届け出。
大休止後、薬師峠キャンプ場(1,000円)へ移動。テントサイトは傾斜地が多く遅め到着でやや場所取りに苦労した。紫髪や金髪の学生?団体の大型エスパースが4~5張ある等、老若男女で盛況だった。水は豊富でトイレもある。
16時を過ぎると小屋で携帯電話の充電をしてもらえるので(200円)、土砂降りの雨の中20分かけて太郎平小屋へ向かう。充電には時間がかかるので一旦キャンプ場に戻り、雨も上がったのでテントの外で夕飯。
大雨で水没したかと思ったテントは無事。
19時過ぎ、携帯を取りにまた降ってきた雨の中を小屋まで再度往復した。ふぅ。
夜空には満天とは言えないが結構な星が出ていた。
山の天気は本当に変わりやすい。
翌日の天候がそこそこ良いことを願って就寝。
初日:折立8:30発~太郎平13時着~薬師峠キャンプ場14時着
◇2日目(薬師峠キャンプ場~薬師岳~スゴ乗越小屋キャンプ場)
快晴。天候が崩れないうちにスゴ乗越小屋へ着ければと思って出発。
薬師岳はゆったりとした大きな山。太郎平小屋や薬師岳山荘からのピストンが多いようで、結構な人数とすれ違いつつ登って行く。
昨日の紫髪君達の団体はとてもマナーが良かった。
途中「クゥ」と聞きなれない可愛い鳴き声が聞こえたと思ったら、可愛い雷鳥の親子4羽がいた。
文句なしの青空の下、頂上着。
朝のピストン組が丁度下山したところで頂上には私の他2人のみ。
薬師岳山荘で逢った古希の男性が、頂上に誰もいないと写真を写してもらえないからと待っていてくれた。感謝。
2人は頂上を去り、薬師岳山頂を暫く独り占め。
人生って時々このようなご褒美があるなぁと、360度山に囲まれた頂上で2年越しの登頂を喜ぶ。
山頂のプレートに「気持ちがいいからと昼寝し過ぎないように」と書かれていて、そうだよねと納得して先へ進む。
北薬師岳山頂付近までは快晴であったが、天気は下り坂で縦走路の展望は効かなくなった。その後はあまりペースが上がらず、途中からカッパを着用してスゴ乗越小屋に到着。
テントは一人700円、キャンプ場利用者は充電不可、トイレは使用の都度100円必要だが小屋のトイレを使用するのでとても綺麗、水は豊富。10張程度の利用だった。
テントを設営していると猛烈な雨が降ってきた。びしょ濡れ寸前でテントの中に入り込み、お茶を入れてようやく一息つく。その後土砂降りの雨がずっと降り続く。
19時頃に寝たが雨音が強烈にうるさくて眠れない!
20時頃、雷が鳴り始めてピカっと光るようになった。これはまずいと思いピアスを外して(笑)手ぶらで小屋に向かう。しかし、小屋の玄関は真っ暗だし、避雷針があるのかわからないし、呼び鈴を鳴らして小屋の方を起こすのもどうかと思い、スゴスゴとテントに戻る。
21時頃、また雷が鳴りだしたが近く鳴っているわけではなかったので、そのまま寝ていた。風が無いのが幸いであったが、うるさい雨音の中でもいつの間にか寝ていたようだ。
2日目:薬師峠キャンプ場5時45分発~薬師岳8時着~スゴ乗越小屋14時着
◇3日目(スゴ乗越小屋キャンプ場~五色ヶ原)
3時頃に外に出たら月あかりで明るかった。
降水確率80%の雨予報に反して、朝焼けのあと空が晴れてきた。
私は強運なのかと一瞬思ったが、いずれ雨は降ってくるだろうから雨がひどくならないうちに五色ヶ原へ到着できればと出発。
スゴ乗越あたりで遠くに槍ヶ岳が見えた。もう少し先へ進むと鹿島槍ヶ岳が見えた。
スゴの頭まで登りきるとやたらとお腹がすいてしまい一休み。休憩中、後続の3人パーティーが通り過ぎていったが、この日スゴ乗越~五色ヶ原に抜けたのは私とこのパーティーともう1人だけだと思う。一方、逆ルートはこの倍程度はいたかと。
天気が良かったのはスゴの頭まででそのあとすぐ雨具を着た。越中中沢岳はかなりの急登で、7月に白毛門を登っておいてよかったと実感。風雨は強まるばかりで、ハイマツがない風の通り道など暴風雨状態。
五色ヶ原へ抜けるルートは危険な箇所はないのだが、昨夜までなかった風も出てきて、さすがにあれだけ強い風や雨に打たれ続けると疲れる。
鳶山頂上で休んでいたら、朝早くすれ違った男性がやってきた。聞けば3時に出発したのだが天候が悪すぎるので、薬師岳は諦めて五色ヶ原のキャンプ場へ戻るとのこと。
では、五色ヶ原のキャンプ場でとあいさつして、各々行動を開始した。
実は彼も小屋泊まりとなり、話を聞けば北米で4,000キロを半年かけて縦走していた強者だった!
鳶山から五色ヶ原までは1時間弱の穏やかな道だが、途中で雷が鳴り始めた。近くではないと思いつつ、早めに到着したいと気が焦って普段より飛ばして歩く。
木道がカーブしている箇所があり、曲がりきれずに転倒して左足をひねってしまった。
「木道で転んでヘリで救出」のweb記事も読んでいたので一瞬頭が真っ白になるが、歩くことはできた。ホッ。
後続がいないこの場所で、雨風に打たれ続けたら低体温症になってしまうとかなり反省しつつ、土砂降りの中ようやく五色ヶ原山荘へたどり着いた。
キャンプ場の受付(700円)を済ませて、ザックを山荘の入口に置いたままキャンプ場を見に行った。1~2分歩いて、この暴風雨の中でのテント利用はありえないと思い直し、素泊まり(7,000円)で小屋に泊まることにした。
なお、キャンプ場の利用者は小屋で携帯の充電をさせてもらえない。
私より後に小屋へ着いた利用客はみなずぶ濡れだったが、小屋には乾燥室あり、暖房ありで天国だ。なんと追加料金なしでお風呂にも入ることができ、同室者もおらず個室を一人占めした。
小屋で充電しようとしたところ携帯の電源が入らなくなってしまった。これ以降は写真が全く取れなくない上に、位置情報の確認に使用していた携帯のアプリも使えなくなった。ありえない現実?
16時頃天気が回復して黒部湖の向こう側にある針の木岳等の山々が綺麗に見えた。しかしカメラがないため目に焼き付けるだけ。
夜になるとまた天気が荒れてきた。
3日目:スゴ乗越小屋5時40発~五色ヶ原山荘14時着
◇4日目(五色ヶ原~室堂)
起床して外を見ると何も視界が効かない。
プチっと音がしたので時計を見てみると高度計が動かなくなった。カメラ、携帯に続き、高度計まで使えなくなるとは痛い。。。
自炊場で朝食を食べていると、外ではゴーゴーと音がしている。停滞も考えたが翌日以降も天気が回復する見込みはなく、雨はお昼過ぎからとの予報であったため下山を決めた。
小屋の宿泊客はみな停滞せずに行動したようだ。
雨に降られなかったのはザラ峠までで、その後は室堂までずっと猛烈な雨と風の中を歩き続けた。昨日ひねった左足は、本調子ではないものの歩行はできたので歩き方を工夫しながら進んでいった。
獅子岳のあたりか、クゥとあの鳴き声が聞こえて4羽の雷鳥に遭遇した。うち1羽が雨の中を歩いている登山者を不憫に思ったのか、不思議なことに50メートルくらいトコトコと先導してくれた。
鬼岳付近は雪渓が残っているが夏道の歩行にアイゼンは不要。
縦走路最後のピークである龍王岳(2,872m)までたどり着くと、あとは室堂目指して降りるのみ。
前日のように転倒しないよう気を付けつつも景色は何も見えないから、「室堂、温泉、室堂、温泉」と半ば呪文を唱えるように室堂を目指した。
いい加減、暴風雨の中を歩くことに飽きた頃、ようやく室堂に到着した。
富山行きバスの座席をさくっと確保し、公衆電話を探して下山報告。
公衆電話はバスターミナルの郵便局脇にあった。
その後、バスターミナル待合所の更衣室で濡れた服を全て着替え、空身でみくりが池温泉へひた走った。
ザックがないとなぜか走れる自分が不思議だった。
4日目:五色ヶ原山荘5時45分発~室堂12時着
◇終わりに
もう少し楽に縦走できると思っていたがなかなか天候が厳しく、北アルプスデビューの同行者がいなくてよかった。。。
普段、日帰りや1泊の好天を狙った山行がいかに多かったかを痛感。
一方、道中会った人達から色々な北アルプスの楽しみ方を聞くことができた。剱の早月尾根から南アルプスまで歩いている人、高天ヶ原の温泉を目指す人等々。
私ももうしばらくは北アルプスへ行き続けたいと思う。
でも暴風雨山行は今回限りだといいなぁ。