山人ノマドの活動報告

東京都山岳連盟加盟の山岳会、山人ノマドのブログです。会員の山行記録、会の行事などを紹介していきます。

エアーズロックに登ってきました。

2019年9月18日~25日 N川×2

 

今月2019年10月26日以降登山禁止となる

オーストラリア・エアーズロックに登ってきました。

 

もう何年も前から、登山禁止になる前に登ろうと思いつつ

気が付いたらもう今年はその年。

あわてて、西川の日程を調整し、現地4日間滞在の日程を確保。

 

 

エアーズロックに行くには、

国際線でシドニーメルボルンに飛び、そこから国内線で3時間半。

オーストラリアの真ん中にあるコネラン空港まで飛ぶ。

空港から5キロのところにある

1週歩いても30分の小さい集落「エアーズロックリゾート」に宿泊するのが一般的。

一番近い町アリススプリングスからでも車で4時間以上かかる。

エアーズロックリゾート」には、

5つ星ホテル、4つ星ホテル、またファミリー向けタイプ、テント場、

銀行、警察、ショッピングスクエアなどが立ち並んでいる。

我々はレンタカーを借りたが、車がなくても、

数多くのツアーが催行されていて、

ウルル登頂が目的でなくても、

滞在中リゾートを十二分に楽しめるようになっている。

 

エアーズロック(ウルル)

オーストラリア中央に位置し、世界で2番目の大きさを誇る一枚岩。

世界一は、マウントオーガスタス、 エアーズロックのもっと西にある。

エアーズロックの名は、イギリスの探検家がつけたが、

先住民アボリジニの呼び名はウルル。

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地表面の大きさは周囲9.4Km、高さ346m(海抜863m)、砂岩からなる岩。

地上にでている岩は全体の5%にすぎず、

ほとんどは地面の中に埋まっている。

見渡す限りの地平線が広がるなか、

ぽつんとそびえる圧倒的存在感の一枚岩は、

どこから見ても神々しく、

この地先住民アボリジニの聖地として崇拝され、

またユネスコの世界複合遺産として登録されている。

 

登山禁止になる理由として、

聖地に登ってほしくないという先住民の願いと、

また登山によって滑落死、突然死といった悲劇を自分達の聖地で

おこることを見たくないという願いがあるという。

正式に登山禁止になるのに時間がかかった理由のひとつに、

エアーズロックの観光収入が先住民アボリジニにとっては

貴重な収入源となっている為、

しかたなく登山を認めているという現状がある。

 

ウルルに登る為だけに、4日間の日程を確保したのには理由がある。

登山に関しては以下の条件のうちひとつでもあてはまると

登山禁止になる。

 

ウルル登山禁止になる要因

①気温:その日の最高気温が36度以上に上がると予想される

②風:風速25ノット(風速13m)以上の強風が予想される

③雨:今後3時間以内に20%の確率で降雨が予報される

④低気圧:ウルルから50キロ以内に強い低気圧が観測される

⑤曇天:頂上付近が雲に覆われている

⑥日の出1時間半以上前、日の入り後1時間半後

さらにアボリジニの祝日や行事がある場合も登山禁止となる。

 

毎日、朝7時、8時、10時、12時、14時に

レンジャーが登山口に来て、登山口のゲートの開閉をする。

登れるかどうかは現地にはいった時の天候次第、

運次第ということになる。

ここ数年では、年間の登山解禁日は100日~150日となっている。

3日滞在して3日間ともダメだったという友達もいる。

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強風の為クローズ

 

 

我々が滞在した4日間は、1日が強風で登山禁止、1日が嵐予報で登山禁止。よって、確率は50%だった。

 

我々が登れた日の前々日から2日間連続登山禁止が続いたせいか、

その日は、ゲートが開く朝7時前から多くの人が登山口に集まっていた。

朝7時、ゲートが開くと同時に世界中からきた人々が一斉に登り、

杭にうたれた鎖にしがみつく、そこからは1列で登るしかない。 

時間がたてば、鎖の一方は登りで一方は下り。

遅い人がいればすぐに大渋滞となる。

最初の急な部分の鎖が終わったあたりで高さ3分の2、

距離3分の1を登ったことになる。

鎖が終わった所からは白いペンキに沿って頂上を目指す。

 

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当然岩なのだから、滑る、、、

最大傾斜は46度、足と手を使って登ることになる。

ほとんどの人は、登山靴やスニーカーで、鎖にしがみついていた。

私が持参した靴は、2年前コロラド川を下った時にはいた

モンベルのパドリングシューズ。

アウトソールは抜群のグリップ力を発揮するアクアグリッパー採用の靴。

また西川もクライミングシューズを持参。

 

鎖ももたず、必死に鎖にしがみついている登山者からは、

すたすたと、淡々と彼らの真横を登っていく我々の姿は、

かなり奇異に見えたに違いない。

また西川は7.5mに伸びる竿の先に、

360度撮影できるカメラをつけて登りながら撮影。

「見て見て、Googleがきてるよ」なんて声も聞こえてくる。(笑)

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平均傾斜40度を登りきると、先に山頂が見えてくるが、

今度は白線に沿って歩くことになる。

白線を無視すると痛い目にあう。

どうやっても登れない下れない急斜面にぶちあたることになる。

 

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白線どおりに・・・

 

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山頂から見えるのは、360度何もない絶景、まあ~るい地球が見える。

空はどこまでも限りなく青色。

昔、オーストラリア、ニュージーランドの紫外線は

日本の20倍と言われた時があったが、

今でも5倍から10倍は紫外線が多いと言われている。

さえぎるものが何もない澄んだ空気も

紫外線が多い理由のひとつかと思う。

 

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山頂付近の様子

(7.5mに伸びる竿の先にカメラをつけ、タイマーで撮影)

 

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山頂で記念写真

 

 

 

エアーズロック・・・

ふ~ん、だから何? ぐらいにしか最初は思っていなかった。

実際にその場に立ってみると、

どこか神秘的で何かしらのパワーを感じる不思議な世界だった。

日の出前は闇に溶けていた岩肌が、日の出とともにサーモンピンク色へ、

さらに鮮やかなオレンジ色に変化する。

また日が西に傾き始めると、岩肌は燃えるような色となり、

日が沈むと同時に闇の中にその姿を消していく。

この世のものとは思えないほどに燃え上がるのは年に数回、

微妙に雲が広がっていないと真っ赤にならないという。

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日の入り前から多くの人が日没までウルルを見にやってくる

 

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日没前のウルル

 

往復2、3時間の岩山を登る為だけの旅だったが、

なにか、アボリジニの魂に触れてしまったのか、

心中忘れることができない旅となった。

 

 

雑感

オーストラリアの名物ハンバーガーは、ジューシーででかくて絶品。

肉以外にベーコン、紫色のビッツ、目玉焼き、スライスチーズ、パイナップル、玉ねぎ、、、。

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車でちょっと走れば光害ゼロの南天の空。

聞いたこともない星座の名前に驚いた。

インディアン、狼、かじき、コンパス、祭壇、定規、望遠鏡、くじゃく、カメレオン、蠅・・・

 

バスタブの栓を抜いた時、

水は右回り(時計回り)に吸い込まれていった。

これはコリオリの力と言われる現象。

北半球では左回り。

 

エアーズロックリゾート

ウルル・カタジュタ国立公園内には宿泊できないので、

環境客は全てこのリゾートに滞在する。

ほとんどの建物は砂漠の色と同化するように

特殊な塗料が使われており、

真夏に40度以上の猛烈な熱を反射する為、

スイス製の日よけ用帆が68も使われている。

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