2018年4月29日 T島(L)・F森・U松(記)
昨年、長男夫婦に、待望の、男女の双子の孫を授かったことはお知らせしました。
春にお腹にいることを知らされてからの七か月間は、口外できないものの心配で心配で、あちらこちらへ安産祈願登山をして過ごし、年末、誕生したばかりの赤ん坊を抱かせてもらって、歓喜、そして大いに安堵したものです。ですが、ほっとしていられたのは、三月までの三か月の間のことでした。お嫁さんの実家で雛祭りを祝ってもらい、息子の住居へ二人が帰ってきてからというもの、爺も婆も、東京家族の全員が、赤ちゃんたちに完全に従属する日常になってしまいました。
2月末頃か、登山スクール時代の福島在の友人との交信が復活し、山開き前の春の安達太良山登山計画が持ち上がり、Tさんにも声かけさせていただいていたことを、爺の手も役に立つとおだてられてせっせと息子宅へ通っているうちに、許しがたいことに、完全に、失念してしまっていました。
老生のお詫びメールに、Tさんからは、許していただいたばかりか、ニリンソウが見られるらしいからどうですかと、親切にも、今回の山行にお誘いいただいたという次第なのです。
当日、高尾山口駅のホームは、ちょっとした朝夕の「山の手線」ホームの様相になっていました。改札口からの脱出に15分近くかかり、集合時刻にはなんとか間に合いました。
古いエアリアマップによる、バス停から登山口までのルートには一部すでに廃止された箇所があり、山下バス停から人家裏手へ迷い込んでしまいました。料亭への通りへ出られて、10:30頃に分岐、西山峠への、ゆっくりとした山行が始まりました。
地図に、入沢川との記載がある小さな沢沿いの登山道です。すぐに花々に出会うことができましたが、老生は花の名前はさっぱりです。Tさん、Fさんは詳しい。老生がポケット図鑑を持っているのに気づかれ、ページを開いて確認してくれました。
ニリンソウが散見できるようになり、やがてここ以外にはないでしょうという感じの、かなり広い群生地に出会いました。花の時期は、1週間前にならという感じで残念な状態でした。せっかくなので画像を載せてみました。
西山峠付近で一本たて、別の登山道から来た、老生と同年くらいの花々目当ての女性ハイカーたちと歓談ができました。
(ここまでの花々:画像は順にホウチャクソウ・ヤマブキソウ=群生・ニリンソウ=群生。そのほか画像なし:ラショウモンカズラ・ジュウニヒトエ・フタリシズカ・クサイチゴ・ヤブデマリなど。)
12:00前後に見晴台という場所に到着、足下に広がる津久井湖と集落の景観が楽しめました。丹沢山塊の奥に富士山も見えました。ここからは冬晴れの日など、遠く北岳も遠望できると、神奈川県のある山岳会の方から聞いた記憶があります。数株のホタルカズラかなと思われる花がありました。
お昼過ぎには大洞山山頂を踏み、みんなで、お湯を沸かして、ゆったりとハイキングのお弁当時間を楽しみました。お互いのおかずを摘まむなど、小学生時代の遠足の感覚になれました。山頂の案内板直下にオダマキが数株、メンバー全員「移植ではないだろうか」と意見が一致しました。ある図鑑には、高尾山では希少種になったとの記述も見える、キンランの株をFさんが発見しました。
13:00過ぎに、大垂水峠から城山(シロヤマ:小仏城山。アルペンガイド別冊 山名・用語辞典1998年11月初版に「正しくはジョウヤマ」とあります。相模湖地方の人からこちらの名称を聞いたことがあります。)への登りにかかりました。
ここからの路での花々に、老生、「ぼさーとしてんじゃ・な・い」と言われている気がして、これまでの山人生をすこし反省してしまいました。そして孫たちと過ごすことのほかに、リタイア後の人生に、もう一つ目標をいただけたような感じがしました。とてもありがたい山行になったとの思いでいます。
陳腐な言い方になってしまいますが、「高尾山侮りがたし」でした。
(確認できた花々は画像順にハナイカダ・キンラン・イカリソウ=群生・エビネ=群生。画像なし:ジュウニヒトエ・ホウチャクソウ・アマドコロ・チゴユリその他)
キンラン
田中澄江さんの本(文庫新装版)には、「(高尾山では)戦後すぐの頃登ったときのように、ヤマシャクヤクやオキナグサやエビネを見出すことは、ほとんど不可能になった」とあり、撮影できた花のなかでも、エビネについて、「それほど最近は盗掘などで減ってしまい、出会えても安心できない」と書いてある図鑑があります。この図鑑には、キンランの説明にも、「(小さくても目立ちすぎるので)最近の高尾山では簡単には見られなくなってしまった」としてあり、ホタルカズラについても「よくみかけたが最近は少ない」としてあります。
今回私たちが出会うことができた花々のなかには、人々の手により復活したり、保護されていたりしているものがあるのではないかとも思います。ご苦労、ご尽力に思いを致したいところです。
一時間半ほどで城山山頂でした。大休止をとり、禁じ手の山頂ビールの冷たいのを、500mlだけ三人でいただきました。16:30に富士見茶屋まで下山し、店主に草団子のことを尋ねたところ、「2時までに来ないと売り切れ」とのことでした。近所の80歳を超えた女性がつくってくれているのだそうです。17:00過ぎに相模湖駅に到着しました。かどや食堂での反省会の後、高尾駅で全員一緒に京王線に乗り換え帰宅の途に就きました。
また時期を変えコースを変え、低山を「味わう」気持ちで訪れてみたいと思いました。パーティのお二人に感謝します。
追記:画像はもう旧型になったスマホで撮影しました。根を踏まないようにしたこともありますが、どれもこれもピントも大甘で、とても掲載にたえるものではありません。レポートを引き受けるはめになり、苦し紛れで掲載してしまいました。また花々の名称は、保有のポケット図鑑を参考にしましたが、不勉強で正確さを欠くものだと自覚しています。ご容赦ください。
2018・5・7記