山人ノマドの活動報告

東京都山岳連盟加盟の山岳会、山人ノマドのブログです。会員の山行記録、会の行事などを紹介していきます。

屋久島・宮之浦岳

最南端の百名山宮之浦岳

2018/5/23-26  N川

 

屋久島・宮之浦岳(標高1,936m) 

最南端の日本百名山

山域は、白神山地とともに、

日本で初めて世界自然遺産に登録されている。

 

屋久島へのアクセスは、

九州鹿児島から空路35分、高速艇で2時間半、フェリーだと4時間。

島1週は105キロで島を横断する道はない。

この小さい島の中に

1500m以上の高峰が11座、

1000mを超える山が40座以上、

これが洋上のアルプスと呼ばれる所以だ。

 

屋久島は私には、遠い島だった。

沖縄や石垣島に行くより遠く感じるのは、

交通手段が複雑にいろいろあり、またその都度調べることも多い。

面倒なので、思い切ってツアーに参加してしまおうかとも思ったが、

これが、またお値段がお高い・・・。 

およそ3泊4日で17万円くらいから。

そんなかんなで、ずっと行きたい気持ちはあったが

宮之浦岳は、私には、なかなか行けない、遠い山だった。

 

JALマイレージキャンペーンを利用し、

羽田-鹿児島-屋久島-鹿児島-羽田

この全区間を2万マイルで航空券をゲット。

登山日1日と予備日1日をいれ3泊4日、

チケットがとれる日程で予定を組んだ。

宿泊は素泊まり、女性専用ペンションに。

 

屋久島は・・・

1か月35日 雨、

1年366日 雨、が降るというほど雨の多いところ。

さらに言うなら、

屋久島で雨に当たらないのは、宝くじの確率より低いらしい。

 

一般的に宮之浦岳だけを目的とするなら

淀川登山口より往復11時間。

縦走するのであれば、

淀川登山口から宮之浦岳のピークを踏み、

縄文杉やウィルソン株、白谷雲水峡へ進むのが一般的。

途中無人小屋利用かテント持参になる。

 

航空券のチケットを予約したのは2か月前で、

当日は、間違いなく雨が降ると予想していた。

それまで、晴れた日に登ったという話を聞いたことがないのだ。

雨の中を縦走するのは論外、、、だったので、

私の中に「縦走」は全く視野にはいっておらず、

当然マットやシュラフも持っていかなかった。

とにもかくにも、宮之浦岳山頂を踏みたいという

気持ちだけだった。

 

私が宿泊している安房という町から登山口まで車で40分。

当日の朝、登山口までは、

レンタカーを借りるか、

タクシーを利用するか、

またまたは公共交通機関バスを使うとか、、、

い~ろいろ考えたが、

それなりの距離なので、それなりにお金がかかる。

ガイド山行であれば送迎付きで、

多くの現地情報も聞けるなら楽しいかと、

私には、後にも先にも初めてのガイド山行にした。

ガイド山行は1人15000円。

1ガイドに対してお客は5人までとなっている。

もし専属ガイドを雇いたい場合は、追加10000円。

当日縁あってご一緒させていただいたのは、

名古屋から63歳の男性と、

静岡から68歳の女性、

ガイドは埼玉から屋久島に移住したという29歳の男性。

 

登山日、ペンションお迎えは午前4時。

登山口5時出発。

朝と昼のお弁当は事前に申し込んであった。1000円。

登山口では、協力金1000円も支払う。

ガイド曰く、

「快晴の宮之浦岳は何週間ぶりかな、

こんな素晴らし登山日はないですよ」と言われた。

 

淀川登山口の標高は1360m

宮之浦岳山頂は1936m

標高差 約600m

累積標高差 930m

往復 16Km

標高差の割に時間がかかる。

休憩をいれてコースタイムは11時間となっている。

 

トイレは、登山口と1時間先にある淀川小屋だけ。

あとは携帯トイレブースが幾つかある。

携帯トレイ持参はここでも必須となっている。

世界遺産なので当然といえば当然か。

 

曙色の朝日差す森、いきなり大きい杉が目の前に現れ、

いよいよ屋久島にいるのだなとテンションが高くなる。

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登山道で見れる巨木の杉はこの1本

 

登山道は、かなり人の手が加えられた場所が多い。

階段にロープに木道。人が多く山に入れば、

また人が手を加えた道も増える。

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雨が多い屋久島で、水害がほとんどないのは、

島自体が花崗岩のため水はけがいいのが原因とか。

標高1800mを超えても、

山道には水が湧いているような場所が多数あり、

水場も多くある。

飲み水は500mlもあれば、途中、いくらでも

水場があるので持ってこなくていいと言われていた。

 

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日本最南端の高層湿原、花之江河

 

途中、豆腐岩だとか、仮面ライダー岩だとか、

薄型TV岩だとか、個々の岩に名前がつけられている。

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豆腐岩 ガイドはめんたいこ岩といってた

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山の高度によって、亜熱帯から冷温帯までの生物群が育ち、

例年より1週間以上早く咲いたシャクナゲも満開だった。

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しゃくなげの向こうに見えるのは海

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シャクナゲの蕾はピンクの色が濃いので可愛い

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岩の向こう側が宮之浦岳山頂

 

山頂からは360度の展望が開け、

九州本土の佐多岬開聞岳

口永良部島種子島を一望できることもある。

島とは思えないほどの雄大な景色を堪能することができるだ。

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29歳のガイドと山頂

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山頂から見える永田岳

 

天気が良ければ、来た道を戻るより

宮之浦岳山頂からさらに北東に進み、

縄文杉、ウィルソン株、

もののけ姫で有名になった太古の森、白谷雲水渓へ

進むのがお勧めだ。

 

早い時間の出発だったので、

復路はのんびり、

ガイドがいれてくれたコーヒーを飲んだり、

素足を川にいれクールダウンしたりしながら下山した。

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登山口着、午後4時10分。

休憩込みで約11時間。

 

訪れる前は、

何だか地名を聞いてもピンとこなかったところも

1回いってみれば様子もわかる。

今回見れなかった縄文杉を見に、

また再島しなければならないな・・・。

 

 

番外

予備日の翌日はレンタカーを借り島内めぐり。

最終日は朝から大雨で、予想どおりというか、

こんなにうまくいくわけないというか、

やっぱり雨にあったたか、

屋久島からの飛行機は夕方6時の最終便以外は全便欠航。

多くの人が、高速艇やフェリーに乗り換えた。

一瞬、屋久島に延泊しようかとも思ったが、

翌日曜の鹿児島から羽田便がほぼ満席状態。

私も高速艇に振り替え、帰宅したのは夜中12時近かった。

 

 

 

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ご当地名産とびうおのから揚げ 羽も食べれる

 

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亀の手

私はてっきり名前そのもの、亀さんの手かと思ったが、

そんなわけない・・・(笑)

亀の手とは、海岸の岩礁の割れ目に群生する石灰質の殻をもつ

岩礁海岸の固着動物。中の肉にうっすら塩味がついていて美味しい。

スペイン語で「ペルセベス」と呼ばれ、

スペインのガリシア地方では欠かせない高級食材。

 

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最初は珍しいと思ったヤクザルもヤクシカもいたるところにいた

 

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ご当地で有名な「首おれ鯖の刺身」は、

滞在中入荷しておらず食べるチャンスはなかった。

ただの鯖の塩焼きでも、安くて大きくて美味しい。

首おれ鯖とは、釣った鯖をその場で首をおり、

血ぬきをするので、鯖でも刺身で食べることができる

 

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屋久芋焼酎(マジに美味しい・・・)

三岳とは、南から黒味岳、宮之浦岳、永田岳のこと。

 

f:id:yamanomad:20180525155630j:plainこんな木が町のいたるところにあった

 

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樹齢3000年の紀元杉

iPhoneのパノラマ写真を縦に撮影したもの、

その大きさがわかるだろうか・・・。

 

雑感

今回お願いしたガイドさんもそうだが、島には移住者が多い。

ペンションのご主人も大阪からの移住組。

ガイドさん曰く、

今日僕が着ているもの、一眼レフカメラなど持っているもの全て

アマゾンで送料無料で手に入ります。

なので、移住しても問題ないのです。

島にないのは映画館ぐらいです。

 

島内を車で走っていて、

あっちこっちにコインランドリーが目立った。

湿度が高いので、買った野菜もすぐにカビる。

全て冷蔵庫へいれなくてはいけないそうだ。

また洗濯物を干しても3日かかり、乾いたら雑巾の臭いがする。

だからかな、コインランドリーが多いのは、と思った。

 

今回一番残念と思ったのは、

どうせ雨が降るからとカメラを新調せず、

手元にはiPhone しかなかったこと

自分ひとりだったら思う存分写真を撮れたと思うが、

ガイド山行だったので思うようにはいかなかったこと。

でも、登れたので全部良しとしよう!

念願の宮之浦岳登山に太陽とシャクナゲが花を添えてくれ、

また大雨の離島屋久島の大変さも体験、

忘れらない一人山旅となった。